英語ネゴシエーションの基本

男性 30代 食品工場

食品工場で設備設計や導入、メンテナンスなどの仕事をしている30代男性です。前職では主に酸素や窒素を大気中から分離、精製して製造するプラントの設計・施工管理・試運転などを行ってきました。

この仕事だけではないと思いますが、前職では主に「コスト削減」を目的として、海外製の機器の検討を求められました。恐らく、そのような時は商社を通して交渉などを行うのが一般的だと思うのですが、なぜか前職の会社ではそのような事をせずに自分たちで行っていました。

そこで問題になるのが価格交渉や技術的な話をするのが英語であることと、交渉(ネゴシエーション)の文化そのものが違うことです。いざネゴシエーションを開始すると、日本人とは違いズバズバ物を言ってきます。日本のように「お互いが納得する妥協点を見つけてなるべくもめないように」などという考えは海外の交渉では皆無です。

英語のスキルはそれなりにあり問題なかったのですが、さすがに「このままではいつか問題が起きそう」と考えるようになりました。

「海外でも通用するネゴシーションスキル」を勉強することとした

その為、海外でも通用するネゴシエーションスキルを勉強することとしました。本来であれば英会話学校などに行き、ネイティブスピーカーから直接教わるのがベストだと思います。しかし、当時は突然海外出張などが入ることが多く、英会話学校にいくスケジュールを立てるのが難しい状況でした。

その為に購入したのが「英語ネゴシエーションの基本スキル」という本です。2004年に出版された本ですので、いくぶん古い気もしましたが「ネゴシエーションの文化はそれほど大きく変わっていないだろう」と考え購入しました。

また、CD付きなのも購入を決定する大きな要因でした。どのような単語でどのように交渉を進めるのか?実際の英語の音を聞いて勉強することは非常に重要だからです。

基本的なネゴシーションの進め方から勉強できる

実際に本を取ってみる前は専門的な本かと思いましたが、実際はネゴシエーションに対する考え方から、英語でネゴシエーションを行うのはどういうことか?ということを非常に簡単な日本語で、かつ丁寧に説明してくれます。

特に「ウィン・ウィンの意味とは」という所は、何となくその言葉を知っている程度でしたが、実際のネゴシェーションに挑むにあたり非常に重要な考えということがわかりました。

やはり、ビジネスではどちらかが勝っても負けても利益にならず「ウィン・ウィン」の関係こそが、継続的なビジネス関係を続ける最良の手段だと丁寧に説明してくれています。

また、「日本人のリスニングスタイル」という項も非常に勉強になります。簡単に言うと「日本の文化は素晴らしいけどそれは日本の中だけ」ということです。日本では「沈黙が良し」といわれていますが、なぜそれが海外ではよくないのか?そのほかにも日本人のリスニングスタイルの問題点を丁寧に説明してくれています。

これ以外にもネゴシエーションで起こりがちな問題点の解決方法や、席の取り方、最後の方では実際の交渉の進め方を英語で示してくれており、非常に勉強になる本でした。

実際に準備を念入りにしてからネゴシーションに挑んだ結果

実際にこの本に書いてあるように、交渉の準備をしてから台湾のある機器メーカーとの交渉に挑むことになりました。上司も出席しますが私の方で

  • 製造をお願いするタンクの価格を前回より10%ダウン
  • 納期は〇月まで。前回より短納期とする。
  • 立会検査は1回

この3項目をキー項目としてネゴシエーションに挑むことにしました。もちろん「相手の立場を尊重することは忘れずに」です。今回はその中でも

  • 製造をお願いするタンクの価格を前回より10%ダウン

という所を上司と話し合い、キー項目としました。ただ、10%はかなりの価格ダウンなので5%でもOKとし、納期を最優先としました。

実際にネゴシエーションに挑むとやはり価格に関しては非常に反発を受けました。しかし、相手の言うことをよく聞くと、製造的には非常に余裕があり、むしろ暇なので仕事が欲しいことが読み取れました。

その為、こちらから「以前と同じ納期なら10%値下げをお願いしたいが、〇月までの納期であれば5%でも良い」と提案すると、快く引き受けていただけました。

ネゴシエーション前にキー項目を決めたことと、相手の言うことをよく理解するという二つのことを実践出来た結果だと思います。

結果として、値下げも実現でき納期短縮もできたので交渉は大成功となりました。

すぐに優れたネゴシーターになれるわけではない

もちろん、この本を読んだからすぐに優れたネゴシエーシェーターになれるわけではありません。「ネゴシエーションとは?」ということをあくまでも理解する本ですので。

重要なのはこの本を読んで、CDで何回もリスニングをして、実際のネゴシェーションの場で勉強することだと思います。

何もかもが本やCDの通り進むことはないので、実践を通じて勉強するという姿勢が重要です。

まとめ

「英語ネゴシエーションの基本スキル」は実際の交渉だけでなく、普段のコミュニケーションから役立つ本だと思いました。特に海外に駐在している方や、逆に海外から日本に赴任している人がいる場合でも、ネゴシェーションだけでなくコミュニケーションスキルを学ぶ意味でも役に立つ本です。

これから海外と仕事を始めようとする方。それでなくてもビジネス英語に関する知識を幅広く取得したい方にお勧めできる本です。