東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方 

男性 42歳 ITシステムエンジニア

【読むきっかけ】 

私はある課題に対する答えを出しにくいときに、自分自身の中でそれを深く考えきれずに後回しにする、誰かが解決してくれるだろうということがありました。その弱い自分自身から何とか脱却したい、是が非でも打破したいと感じておりまして、そのヒントでもつかめればと良いと思いまして、購入しました。

【概要について】

 本書では、著者が自身の研究の中で深めてきた思索と学生への教育を元に、「考える力」とは何であるかを定義して、それを身に付けるための方法を伝えています。

◆「考える力」の定義: 

課題として与えられる知識やスキルを効率よく身に付ける為の「マニュアル力」に対し、

「考える力」とは、他の人が疑問に思わないような点でも考え抜いて、問題の本質を見極める力であり、その問題に対して独自の答えを編み出すための「創造する力」と表裏一体の能力である(本書では2つを「自ら考え、創造する力」として論じている)。

この能力は大きく次の3つの力に分解できる。

1.「問題を見つける力」: 

何が分からないかを明確にする力をいいます。換言すれば本質抽出力になります。「気になる」「おもしろそう」「なぜだ」「どうしてだろう」といった問題の種の源を見つける。

事実、答え、分からないことか、わからないのいずれかに分類する。日々ひらめきなどをシンプルにメモする。事実とノウハウを峻別して情報を収集します。重要なのは、必要ない・理解した・解決した情報を捨てる事。捨てる事は目から鱗でした。

2.「解く力」: 

答えのない問題を解決に導く力をいいます。重要なプロセスモデルとしては「類型化→要素化→各要素の個別解決」になります。個別解決の段では「マニュアル力」が有効活用可能です。一方で、「知ってるつもり」「わかってるつもり」を忘れて、「本来どうあるべきか」を考えることも必要になります。キュリオシティ・ドリヴン(好奇心主導)で発想の視野を広げます。

3.「諦めない人間力」: 

物事に粘り強く考え抜き、諦めずに取り組み続ける力をいいます。すぐに誰しもが認められる成果を出そうとする。仮に課題を解く中で、詰まってしまう事は誰しもあると思います。詰まってしまったら、一度スタート地点まで戻ってみる。成果が出ない時間を決して、ムダと考えるのではなくて、自身が成長する過程に必要な事であるとと考えてみる。何より好奇心を持つ。

【タメになった事】

今まで、答えは1つで正しい。皆で考えたのだから間違いないという思考でしたが、

事象に疑問を持つ事で、人から言われた事を鵜呑みにするのではなく、「本当にそうなのか?合っているのか?」「他に疑問の余地はないのか?」「なぜそうなっているのか?」と

考えを巡らせる事が出来るようになりました。そして、必ずその真偽や理由を調べるようになり、その疑問をスタートラインとして、知識を身に付ける事が出来るようになりました。

【おすすめしたい方々】

学生におすすめします。マニュアル力で試験を解くことは可能だと思いますし、公式や単語を暗記すれば楽でしょう。しかし社会人になれば、試験を解く為のマニュアル力よりも、考える力が絶対に必要になります。社会に出る前に考える力を鍛えておく必要があります。

そして社会人にもおすすめします。物事に対して粘り強くやり抜く事が出来ずに諦めてしまい、成果を早急に求めすぎている人が多いです。(私もその一人でした。)

何でもそうですが、失敗したって間違って良いと思いますし、誰しもが最初は出来ない事と思います。スタート地点まで戻って、あれこれ考えながらやり直す事は間違いではなく同じ失敗をしない為の成長戦略になります。

【普段より実践している事】 

仕事や普段の生活において、『なぜ?』『どうして?』と考えるようになりまして、

論理的にかつ、問題の本質を見極めるようになりました。また、日々疑問に思った事や思い付いた事などはメモ帳に書くようになりました。

【感想】

結論を申し上げますと、ヒント以上のものを受け取る事が出来ました。しかも実践出来るようになりました。しかも実践してから、昇進して部長になるまでになりました。昨今は何事においてもスピード重視であると、意味をはき違えている方々が多いです。

また、すぐ終えるとか、品質よりもスピードだとか言う人が数多くいますが、私は間違っていませんし、だからと言って正しい訳でもないと思います。

確かにスピードも大切ですし、正確性も大切です。むしろ、正確性が重要であると思います。スピードを認めて間違いをしては意味がありません。私は急ぐからといって慣れない近道を通ったら、道に迷うなどして、かえって遅くなる事があります。(つまり、後先を考えない。)多かれ少なかれ時間を掛けても、それが仮に回り道であったとしても進むほうが、結局は早く目的地に着くということになります。(つまり、しっかり準備をすれば良いだけです。)。私は急がば回れを大切にしています。ある課題に対して、1つの見方しか出来ないのは、何も考えていないのと同じだと思います。私はこの本を読んでから考える力が身に付き、より論理的に話を出来、説得力が身に付いたと思います。

理由は、とにかく考えて準備をしているからです。全員に私の伝えたい事が当てはまる訳ではないのは十分承知していますが、読まないよりも読んで頂ければ少しでも分かってもらえると思います。