なぜ人類は世界を支配することになったのか?

男性 20代 ライター

はじめに

サピエンス全史シリーズは、私たち現生人類という生物種は一体何者なのだろうかという壮大なテーマについて、本質から掘り下げていく内容となっています。

虚構への理解が深まった

まず、私にとって参考になったと感じたのは、「会社」「宗教」というものが虚構であるという話です。本書を読む前の私を含め、多くの人は会社や宗教というものがそもそも何なのかというところに疑問を持たずに生きています。しかし、実際、それらは虚構という想像上の産物でしかないということが、本書では具体例を交えながら綿密に語られています。

私は本書を読むことによって、会社というものは法的手続きを経たことによって生まれた概念でしかないということ、宗教というものは聖書という物語によって生まれた概念でしかないということを十分に理解することができるようになりました。

私は本書を読んだことがきっかけで、当たり前に存在を認めていたものに対して、前提を疑うこと、つまり批判的思考を行うことを習慣化することに成功しました。その習慣は自分の人生を生きていく中でのあらゆる選択に活きています。

無知であることを受け入れることは大切

また、本書を読むことでタメになったことは、無知であることを受け入れることの大切さを学ぶことができたということです。本書では、かつての人類は宗教によって創造された「神様」を絶対視していたということが取り上げられています。当時の人類は神様が全ての答えを知っていると考えていたため、自分たちは無知であるということを受け入れられていませんでした。

それによって、何かを研究することや何かを発明するということが起こらず、産業が急激に発展するということも全くありませんでした。しかし、時代を経るごとに、人々は現実世界と聖書の内容に乖離があること、神様の発言が現実にそぐわないということに徐々に気づくようになりました。それによって、人類は自分たちが世界に関する多くのことをまだ知らないということ、つまり自分たちは無知であるということを段々と認識していきました。そういった流れによって、生まれたのが約500年前の「科学革命」であるということが本書で描かれています。

本書では、人類というスケールで話が進んでいましたが、「全ては自分が無知であることを認めることから始まる」という考え方は個人に置き換えることもできます。無知であることを認められるようになると、あらゆる物事に対して本質を追求するようになります。生きていく上での大切になってくる人生観になるので、ぜひ本書を読んで理解しておきたいところになります。

こんな人におすすめ

まず、学校や職場など、自分が身を置いている環境に納得がいっていない人におすすめです。教育制度や法人というものは、あくまで概念であり、絶対的なものでないということが分かると、その環境に居続けなければならないという理由がないことがはっきりと分かってきます。それによって、自分が納得できる環境に変えるような行動を取るなど、納得がいっていない自分の状況を変えるための具体的な行動を取ることができるようになるのです。

また、上手くいかないことをすぐに他人や環境のせいにしてしまう人にもおすすめです。物事をすぐに他者責任にしてしまうのは、自分の無知や無力を認められていないからだということが本書を読むことで気づくことになります。「全ての始まりは無知を受け入れることである」ということを本書によって理解することができれば、何か上手くいかないことが発生したときに、他責にせず要因を調べたり観点を変えてみたりするといった手段を取ることができるようになります。これは、他者とのコミュニケーションにおいても活かせる考え方になるので、多くの人にとってタメになる本だと思います。