独りになる勇気
内容
心理学の巨頭アドラーの心理学を哲人と青年の会話形式で学べる内容になっている。
対人関係に悩まなくなる考え方や哲学的な「幸せになるにはどうすればよいのか」という問いに対して哲人がシンプルかつ具体的な答えを教えてくれる。
参考になった点、タメになった考え方
主に以下の2つある。
①原因論ではなく目的論
アドラーの教えによれば「今生きている人生は過去によってもたらされているのではなく過去に与える意味によって自らを決定している」との事だった。
つまり過去のトラウマなどは存在せず自分にとって都合の良い目的を設定して過去の出来事を”トラウマ”と位置付けているにすぎないということである。
例として引きこもりの子供が挙げられていた。
× 過去のいじめにより不登校になり引きこもりになった。
〇 引きこもりになることによって家族から心配され腫物をさわるかのように優しく丁寧に扱ってくれることが目的。また、学校の人間関係に悩みたくないそれを達成するために引きこもっている。
私は、そんなことがありえるのかと最初は思ったが確かに考えてみると過去の事を原因として今を嘆くという行動はただ言い訳をしているだけだと気づいた。自分を守るための今の自分を正当化するための免罪符にしているにすぎない。
大人の言う「言い訳をするな」とはこの事かなと感じた。
②全ての悩みは人間関係における悩みである
悩み事のすべての元は対人関係であるということ。
承認欲求や劣等感、他人からの勝手な期待などアドラーはそういった「他人軸で生きる」という感情を全否定している。
承認欲求を捨て自分軸の人生を生きるというのは一見とても簡単そうで実はとても難しい事であるというのは皆が知っていることである。
頭では理解できても実際にはできない。私はそこにたった1つの”勇気”という壁があるだけだと思う。
日々を過ごす中で様々な選択があるが、その1つ1つで”勇気”を持って自分軸の選択をできるかどうか。
承認欲求は、それの繰り返しで次第に捨てられるようになるものだ。
その本の内容を実践してどうなったか
正直な感想を言うと身の周りの変化はなにもない。
具体的にバイト先での仕事が早くなったとか部活でレギュラーになれたとか一般的に言われる「成功者、優秀な人」になれたわけではない。
だが、主観的には圧倒的にメンタルが安定している。気持ちが楽になった。
というのも、主に人間関係において人の目を気にしなくなった。(1つ周りからの評価を挙げるなら冷たくなった、とは聞いたが……。)
人からの評価はその時々で変わるものだ。先ほどの見出しでも触れたが自分の人生を他人軸で生きるか自分軸で生きるか、その選択は常にあるし常にどちらかを選ぶことができる。
私は本書の内容を実践してこのマインドを得ることができた。
本書を読み、改めて自分と対話した。そして自分は自分軸で生きる方が楽だと気づいた。
今まではお菓子を買って周りから「欲しい」と言われなくても気を使って”優しいと思われたいがために”分けっこしていたのをしなくなった。他人軸ではなく自分軸で生きるという選択をした瞬間だった。
その選択をするのはとても勇気のいることだったけれど今ではするかしないかという1番簡単で1番大きい壁を越えられて良かったと思っている。その勇気をくれたのがこの本だった。
こういう人におススメです
- 身の回りの人間関係に不満を感じている人。
- 周りからの目線を気にしてしまう人。
- 人として成長したいと考えている人。
そんな人に本書をとてもおススメしたい。
状況を変えてくれるヒントが1歩踏み出す事のきっかけになる言葉がこの本にはあるはずだ。
まとめ
本書は身勝手な振る舞いをして嫌われてもいいという内容ではない。
集団の中から1人になるということを著者は「嫌われる」と表現しているだけだ。
その意味では、本書の内容的に「嫌われる勇気」ではなく、「独りになる勇気」が正しいのかもしれない。
集団の中で生きていると、自分が「何者か」になりやすい。相対評価の中で自分を位置付けられていたのが、独りになると自分が「何者か」がわからなくなる。
私は今でも人とはこういうものだと考えているが、この本はその考え方に対して1つの励ましを与えてくれた。
それは、人は生まれた時点で「何者か」なのだという事。
頑張って、自分という個性を殺して何者かになろうとしなくても良い。
「Who am I ?」に対する答えは、「I am I.」なのだ。
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