世界一やさしい問題解決の授業

著者 :渡辺 健介

 イェール大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィスにてコンサルティングを学んだのち独立。

 現在、「デジタルスタジオ」を設立し、企業や官公庁向けに経営コンサルティングや研修を行っている。

本書の概要

 本書は問題解決能力を身につけたい人、 特にこれまで問題解決能力について学んだことのない人に対しての入門書的位置づけのものである。

 平易な言葉で書かれており、かつ図や表を多用することで一見難解と思われる問題解決能力についてどんな人にもわかりやすくかつ楽しく読める構成となっている。また、具体的な事例をストーリー仕立てで解決へと導く流れは問題解決能力について初めて触れる読者にとってわかりやすい。

 本書はこれまで、世界25か国で発売され、シリーズ50万部を突破したベストセラー。

本書の読みどころ

 本書は、3つの章立てで構成されている(目次では1限~3限)。まず、なぜ問題解決能力を身に着けるのかそのメリットと問題解決に用いる手法(「分解の木」)が解説されており、

2限、3限は「分解の木」を用いて具体的な事例解決を図りながら問題解決能力の手法を読者が身につけられるよう解説を進めている。

問題解決能力について筆者は、「考え抜く技術」、「考え抜き、行動する癖」と表現する。問題解決能力を身につけることで、自分の目の前の課題だけでなくもっと大きな社会の問題も解決できるようになる。

まとめ

 この本の良い点は、難しい問題解決能力について、具体的事例を用いてかつストーリー仕立てにすることで初心者にとっても容易に読み進めていける内容となっています。また、図や表を多用している点も読書の理解を助け、一読して内容が理解できるようになっており、いわば初学者のために徹底してわかりやすくしたものといえます。特に問題を「分解」する際の手順についてはこれ以上ないぐらいわかりやすいです。

 ただし、徹底してわかりやすくしている分、内容としては「浅く広く」なっており、本書読んだだけでビジネスの場面ですぐに問題解決能力を発揮できるというものではない。あくまで入門書的な位置づけであり、本書を読んだ後により専門的な書物やビジネスの場面で実践を重ね、問題解決についてより深めていく必要があります。

 ただし、問題解決能力についてここまでわかりやすくかつ実践の第1歩を書いた本は他にあまりないので、まずこの本で問題解決能力について学び次のステップへと進むには最適です。

 初めてプロジェクトリーダーを任された人や新規事案の企画書をはじめて書く人など20代後半や30代前半のビジネスマンにぜひ読んでほしい本である。また、社会人1年目の新入社員でスタートダッシュで同期に差をつけたいと考えている人も本書を一度手に取ってほしい。

Posted by bijibo